なぜ私は生きている――?
死へと
の壁は崩れ落ちて焼け焦げ、私とおなじ
私の記憶がただしければ、私はこの
私は
にあるこの砦の
そこに、バルバシアの
今まで
械兵
など、それなりの装備をそろえた軍隊だった。
そしてバルバシア軍は
にはいささか少数であったが、私の身をおく
う利点はあってもやがてはその数に
そこで私は胸に槍の一撃を受け、力尽きたはずだった。
廃墟の中立ち尽くす私はふと、自分の体を身下ろした。私はすでに、自身の異様な姿
に気づいている。
どうやら炎に巻かれたらしい私の体は完全に焼け落ち、体の組織は全て灰と化してい
た。
だがそれでも、どうやら私は――私の意志は、この世界に存在しているらしかった。
アンデット――なのかもしれない。
だが
アンデッドとなるのは、何かの
聞く。
もしかしたら、バルバシアの兵士が私の
たのだろうか。だがならばなぜそれが私なのか、そしてその私をそのまま放置していく
のか、説明がつかない。
ならばこの世に
……思いつかない。
私は死んだ。仲間達を誰一人として救えなかった。
だがそれはもうどうしようもないと思う。全ては結果だ。あえて言うなら運命。
そんなものだ。
全ては私の力不足のせいで、あとは運・不運の問題だ。
私には思いあたる
在しているのだろうか?
――何はともあれ……一人で考え続けても仕方ない。私は砦内をまわってみ
た。
すでにバルバシアの兵は一人もいなかった。残されているのは私の仲間達の死体ぐら
いなもので、そのうちの多くは私と同じく、炎にまかれて黒く
包んだ火はかなり強かったらしい。普段は白い石壁も、真っ黒に焼け焦げていた。
そして結局、砦内を全て見回っても、どうやら生きている者はいないようだった。
食料庫や武器庫、宝物庫もそうだ。全て
いなかった。
砦内を一通り見てまわった私は仲間達の死体を全て砦の中庭に移し、砦内で見つけた、
比較的
を
私の体は
あるとはいえ、限度もある。あまりこの姿は見せないほうがいいだろう。
私はさらに入念に服や布を巻きつけ、体の
姿だろうが、灰のままの体をさらすよりはかなりマシだと思う。
そして私は仲間達の死体をそのままに、砦を後にした。
墓は作らずとも、あの
砦を出た私はディアスむきの山道を歩いていた。仲間の死体を中庭に運ぶ間に、私は
これからどうするかを決めていた。
このような体となった私では、もう普通の生活には戻れまい。実家もそうだ。あの家庭
は、化け物となって戻ってきた息子を許すような家ではない。
かわりに、私は旅に出ようと思っていた。昔
あちこち旅してみるのもいいだろう。
そして、そんな私の当面の目標。
それは私が、いまだこうして世界に存在している意味を探すこ
とだ。
意味など何も無いのかもしれない。私が今こうしているのはただの偶然なのかもしれない。
それでもかまわない。果たして私がこうして世界に存在していることに意味があるのか――
そして何が成せるのか。それを探して旅するのも
ディアスへといたる山道にさしかかった時、私は背の低い木が
この木には見覚えがある。たしかトネリコの木。そして別名は
そういえば、灰を意味する言葉もアッシュ(Ash)だ。
今の私にはお似合いな木かも知れない。
アッシュの木は、道の左右をかためるように林立している。
――この光景は、そう。
イブラシル暦683年9月。私は再び歩き出した。死してなおこの世にとどまる自分の、その存
在意義を確かめるために。
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